暗号計算機屋のブログ

なにか思いついたことを不定期に更新。

2018-01-01から1年間の記事一覧

講演会に参加しました「IEEE Computer Society 2018会長を経験して」

2018年12月8日(土) 早稲田大学 グリーン・コンピューティング・システム研究開発センターで昨年からIEEEの会長をされている笠原先生の講演会「IEEE Computer Society 2018会長を経験して」に参加しました。 正しくは成田/笠原/木村研究室のOB会で身内だけで…

モンゴメリ乗算の累積加算における分割加算の証明

はじめに 今年の4月にFPGAをはじめたときにFPGAにDSP(乗算器)が多数あることを知った。 これでモンゴメリ乗算が高速化できるわけだがアルゴリズムをそのまま実装するとビット長の大きな累積加算が、ビット長とともに周波数が下がり性能がでない。 そこで分割…

FPGAで加算器を共有して面積を小さくする

このページで説明する加算器を共有して面積を小さくするテクニックは勝手に使っていいのかという質問がありました。 勝手に使っていただいて大丈夫です。 はじめに XilinxのFPGA(Artix-7)でDSPを使用せずにLUTで加算器を作る場合、加算器の入力を構成するLUT…

Xilinxの論理合成ツールと勝負してみた

はじめに 論理合成ツールは、これまでほとんど使ったことがなく、論理合成ツールの性能がどのくらいなのか、ちょっとだけ試してみた。 もちろん人間が作った論理と比較して、人間が勝ったから、ブログに投稿しているわけで、この初戦の結果だけで判断しない…

論理設計はどうやって学んだのか?

はじめに 僕の経歴を見ると早稲田の電気工学科を1992年3月に卒業し、同大学の大学院の計算機工学科を1994年3月に修士を卒業。 日立の中央研究所の超高速プロセッサ部に1994年4月に入社と、CPUとか暗号プロセッサとかを開発するのに最適な経歴です。 ところが…

ICF3-Fの技術と今後について

2018年9月5日 補足1、補足2を追加 2018年9月4日 修正: ICF3-Fは鍵長が2倍になると処理時間が2倍強と書きましたが4倍強の間違いでした。すいません。それでも内容に大きな影響はないと思います。 背景 結論を先に言うとICF3をFPGAでSSLアクセラレータにしたIC…

ICF3-Fのモンゴメリ乗算器が高速である仕組み

ICF3-Fは1999年のICF3をFPGAに実装するために設計を、はじめたバージョンです。 MITの研究者が公開鍵暗号の高速化を可能にする乗算器を発明したとか、そういう話題を、たくさん輸入しはじめていると感じたので、僕が海外のパクリではないことを証明するため…

FPGAを使ったSSLアクセラレータのICF3-F

これから設計して性能が出そうなら売れるものになるのかも、という話で具体的な計画があるわけではないです。 1999年の暗号LSI ICF3をベースとしてFPGAに特化したSSLアクセラレータを考えていきます。これまでFPGAのSSLアクセラレータでは性能が出せず商売に…

IT業界で数学の才能が何の役に立つか

取り合えず僕に数学の特技があると思って聞いてもらえるといいと思います。😉 1999年の暗号LSI ICF3の開発で僕がモンゴメリ乗算を採用することに反対した理由を説明すれば、数学の才能が役に立つということが、わかるように思います。 ICF3を開発した部署は、…

1997年 東大の「疑似非同期式マイクロプロセッサ」

僕は1994年に日立 中央研究所 超高速プロセッサ部に入ったが、次の年には超高速プロセッサ部は無くなった。プロセッサを作るやつは「犯罪者」であり受刑者のような雰囲気だったのは確かだ。そして僕はIBMのCPUを買うための仕事にとりかかった。 1996年、大学…

MicroBlaze性能評価

目的 手っ取り早く自作CPUの性能を評価するためMicroBlazeと比較できるようにする。ベンチマークは自作CPUの性能を測るプログラムを簡単にするため、あまり意味はなく四則演算や論理演算、シフト命令が適当に入るような小さいものを自作した。FPGAの経験は浅…

ICF3とICF3-Vの違いと、何ができそうかという話

ICF3をオープンにして2年近くになっています。そしてICF3が、これからどんな用途に使えるのか説明してきました。ネットワーク監視カメラのセキュリティに有用だと言った気がします。ICF3は1999年のLSIですが、世界一の高性能であったこともあり、廉価なIoT…