暗号計算機屋のブログ

なにか思いついたことを不定期に更新。

COMET 2に似た仮想マシンCOMBATの計画

要約 2023年4月の情報処理技術者試験から出題範囲として外された仮想マシンCOMET 2に酷似した仮想マシンCOMBATを作ってマイコン版JavaとしてCOMET 2を後世に伝えていく計画。出題範囲から外れたCOMET 2に税金が投下されない予想をしています。試験問題のため…

暗号半導体チップにおける『ナオキの法則』

背景 半導体業界ではムーアの法則が有名ですが、ムーアの法則は集積回路上のトランジスタ数は「2年ごとに倍になる」という指標のような経験則です。似たような法則として平山 直紀(Naoki Hirayama)が2018年に発明したSnakeCubeから、後世の人に役立つ指標に…

巨大整数用四則演算プロセッサSnakeCubeが高速である秘密

2020年9月12日、訂正 SnakeCubeの周波数は3倍になるという予測を2倍に。 またUiからT0iの区間を1サイクルと書いていましたが2サイクルに。 はじめに 2020年3月30日、コンピュータサイエンスに関する米国の学会ACM(Association for Computing Machinery)が…

大きなモンゴメリ乗算器は実装できるのか?

はじめに 前回のブログ「わかりやすいICF3-Fのモンゴメリ乗算器の説明」で途方もなく大きなモンゴメリ乗算器を実装できるということ書きました。ここではICF3-Fは複数チップを接続したものでも実装できるのか?という話をしてみたいと思います。そして、そこ…

わかりやすいICF3-Fのモンゴメリ乗算器の説明

はじめに 米アマゾンとイーサリアム財団らがFPGAコンテストをするそうです。簡単に言うとA×A mod N (A,N: 1024bit)をできる限り速く演算するというコンテスト。コンテストのサイトで紹介されているサバンチ大学の論文「Low-Latency Modular Multiplication A…

僕の分割加算と準同型暗号

目的 僕の考えた分割加算が準同型暗号を使ったシステムで役に立ちそう。 分割加算とは 大きな数のモンゴメリ乗算を高速に演算するアルゴリズム。僕が考えたもの。 詳しくは「モンゴメリ乗算の累積加算における分割加算の証明」。 準同型暗号とは 暗号化され…

仮想マシンの加速支援機構つきの新型8bit CPU

2019年12月29日 修正 XilinxのFPGA(XC7A35TICSG324-1L)を搭載したArtyに実装した結果の更新 概要 新型の8bit CPU(ICF3-Z)を設計してFPGAに実装。仮想マシンの加速支援機構を使った、簡単なスタックマシンで、サンプルプログラムがXilinx FPGA Artix-7(-1)の…

講演会に参加しました「IEEE Computer Society 2018会長を経験して」

2018年12月8日(土) 早稲田大学 グリーン・コンピューティング・システム研究開発センターで昨年からIEEEの会長をされている笠原先生の講演会「IEEE Computer Society 2018会長を経験して」に参加しました。 正しくは成田/笠原/木村研究室のOB会で身内だけで…

モンゴメリ乗算の累積加算における分割加算の証明

はじめに 今年の4月にFPGAをはじめたときにFPGAにDSP(乗算器)が多数あることを知った。 これでモンゴメリ乗算が高速化できるわけだがアルゴリズムをそのまま実装するとビット長の大きな累積加算が、ビット長とともに周波数が下がり性能がでない。 そこで分割…

FPGAで加算器を共有して面積を小さくする

このページで説明する加算器を共有して面積を小さくするテクニックは勝手に使っていいのかという質問がありました。 勝手に使っていただいて大丈夫です。 はじめに XilinxのFPGA(Artix-7)でDSPを使用せずにLUTで加算器を作る場合、加算器の入力を構成するLUT…

Xilinxの論理合成ツールと勝負してみた

はじめに 論理合成ツールは、これまでほとんど使ったことがなく、論理合成ツールの性能がどのくらいなのか、ちょっとだけ試してみた。 もちろん人間が作った論理と比較して、人間が勝ったから、ブログに投稿しているわけで、この初戦の結果だけで判断しない…

論理設計はどうやって学んだのか?

はじめに 僕の経歴を見ると早稲田の電気工学科を1992年3月に卒業し、同大学の大学院の計算機工学科を1994年3月に修士を卒業。 日立の中央研究所の超高速プロセッサ部に1994年4月に入社と、CPUとか暗号プロセッサとかを開発するのに最適な経歴です。 ところが…

ICF3-Fの技術と今後について

2018年9月5日 補足1、補足2を追加 2018年9月4日 修正: ICF3-Fは鍵長が2倍になると処理時間が2倍強と書きましたが4倍強の間違いでした。すいません。それでも内容に大きな影響はないと思います。 背景 結論を先に言うとICF3をFPGAでSSLアクセラレータにしたIC…

ICF3-Fのモンゴメリ乗算器が高速である仕組み

ICF3-Fは1999年のICF3をFPGAに実装するために設計を、はじめたバージョンです。 MITの研究者が公開鍵暗号の高速化を可能にする乗算器を発明したとか、そういう話題を、たくさん輸入しはじめていると感じたので、僕が海外のパクリではないことを証明するため…

FPGAを使ったSSLアクセラレータのICF3-F

これから設計して性能が出そうなら売れるものになるのかも、という話で具体的な計画があるわけではないです。 1999年の暗号LSI ICF3をベースとしてFPGAに特化したSSLアクセラレータを考えていきます。これまでFPGAのSSLアクセラレータでは性能が出せず商売に…

IT業界で数学の才能が何の役に立つか

取り合えず僕に数学の特技があると思って聞いてもらえるといいと思います。😉 1999年の暗号LSI ICF3の開発で僕がモンゴメリ乗算を採用することに反対した理由を説明すれば、数学の才能が役に立つということが、わかるように思います。 ICF3を開発した部署は、…

1997年 東大の「疑似非同期式マイクロプロセッサ」

僕は1994年に日立 中央研究所 超高速プロセッサ部に入ったが、次の年には超高速プロセッサ部は無くなった。プロセッサを作るやつは「犯罪者」であり受刑者のような雰囲気だったのは確かだ。そして僕はIBMのCPUを買うための仕事にとりかかった。 1996年、大学…

MicroBlaze性能評価

目的 手っ取り早く自作CPUの性能を評価するためMicroBlazeと比較できるようにする。ベンチマークは自作CPUの性能を測るプログラムを簡単にするため、あまり意味はなく四則演算や論理演算、シフト命令が適当に入るような小さいものを自作した。FPGAの経験は浅…

ICF3とICF3-Vの違いと、何ができそうかという話

ICF3をオープンにして2年近くになっています。そしてICF3が、これからどんな用途に使えるのか説明してきました。ネットワーク監視カメラのセキュリティに有用だと言った気がします。ICF3は1999年のLSIですが、世界一の高性能であったこともあり、廉価なIoT…

1999年のICF3で楕円暗号を実装した社内資料の完全公開

以前から、1ページ目だけ公開していたのですが全ページを公開しました。ICF3でビットコインなどに使われているECDSAを実装するのに、あると便利な資料だと思います。 著作権は平山 直紀にあります。 以下のURLからダウンロードできます。 https://openicf3.…

1999年 ICF3 暗号プロセッサ ゲートレベルの全設計図 初公開!

暗号プロセッサ ICF3は1999年に日立のメインフレームの暗号装置として世界に製品出荷されたLSIです。 当時、RSA暗号の性能で世界一でした。 ICF3の暗号プロセッサのゲートレベルの全設計図を初公開しました。 18年前、LSIのゲートレベルの設計での開発の様子…

SSLサーバー証明書の秘密鍵を調べてみた

暗号プロセッサ ICF3の用途は、IoT小型コンピュータであるが、さくらインターネットなどの専用サーバー(物理サーバー)も便乗できるのではないかと考えています。専用サーバーを利用する客はセキュリティを重要視する客であるためSSL証明書の秘密鍵は、暗号プ…

ICF3のモンゴメリ演算器の図、初公開

1999年のICF3の開発で日立の研究報告書に掲載されたもの。僕が担当して書いた部分から引用しました。インターネット上では初公開だと思う。日立が別途、インターネット上で公開していなければですが。 山形大学 城戸淳二(早稲田 理工OBらしい)さんの白色有機…

IoTの原価を下げる暗号プロセッサICF3

背景 ICF3はIoTデバイスに搭載する暗号プロセッサとして1999年製ながら奇跡的にジャストミートしています。その理由については、これまでいろいろ説明してきました。ここではIoTデバイスの原価を下げる暗号プロセッサについての説明です。 要点は2つ モンゴ…

モンゴメリ乗算のアルゴリズムを使わないICF3

背景 ICF3はモンゴメリ乗算器を搭載した暗号プロセッサで1999年に製品化、RSA暗号の性能で世界一でした。 現在、IoTデバイスに入れる電子証明書の秘密鍵を暗号プロセッサ内で演算させ秘密鍵を漏洩させないことでセキュリティを向上させたいという需要が沸い…

暗号プロセッサ ICF3の日本のオリジナリティ

20年前の暗号プロセッサICF3 ICF3はモンゴメリ乗算というアルゴリズムを実装したLSIです。「なんだ海外のアルゴリズムを実装しただけじゃん」と思った人もいるかもしれません。そういう人のために。 ICF3 https://openicf3.idletime.tokyo/ Wikiでモンゴメリ…

nhira型モンゴメリ乗算アルゴリズム

とりあえず この証明だけは、まだ、役に立つかも。というところ。 はじめに RSA暗号を高速化するためのアルゴリズムとしてモンゴメリ乗算が有名だが、その改良型がC.C.Yang(IEEE 1998)によって論文発表された。それをもとにDesign Wave MagagineのRSA暗号コ…

HDD再生の研究

失敗は成功のもと HDDを廃棄して都市鉱山の利用研究をするよりHDDを再生したほうが地球環境にいい。そんなことを考えている。そして再生したHDDによってお金の節約も狙う。個人でわかる範囲で調べているため、もっと詳しい人はいるだろうが、もっといい情報…

世界一のRSA暗号LSI ICF3のアルゴリズム

アルゴリズムの解説ではなく僕が1998年にICF3の開発を開始したときに渡された資料の公開です。学生の頃は情報系の科目をメインに取っていましたが電気工学科の卒業ということもあり会社に入ってすぐの頃は電子回路シミュレーションをしていました。次にIBMの…

廃棄するHDDレコーダからHDD 80GBを回収

日立製作所 2003年製のHDDレコーダを放置していたがHDDが足りなくなったので、HDDレコーダから回収することに。 中を開けてみると、でてきたHDDはSAMSUNG製(韓国)だった。 日立すら買わない日立のHDDを誰が買うのだと思いつつ、日本のHDD事業について調べて…